●盟友・深作欣二監督とタッグを組んで映画もテレビも大ヒットとなった「柳生一族の陰謀」深作監督と共に、同作が時代劇初挑戦となりましたが、当時はどんな思いで作品に臨まれましたか?
「日本の素晴らしさや古き良き姿を語るのは、やはり時代劇しかないとずっと憧れていました。数多くの歴史の本や小説を読んで、一番魅力を感じたのが柳生十兵衛三厳が書いた『月之抄』という本。父親との確執そして裏切り…十兵衛の生き様はとにかくドラマティックなんですよ。『月之抄』を読むと、人斬りにおいても、彼が自らの意志で動いていたのではないと受け取れますし、大政という動きの中で、翻弄された男なんです…十兵衛は。最初に僕が十兵衛の企画を出した時、深作監督は、間髪入れずに『これは面白い!』そう言ってくれました」
●ド迫力の爆破シーン、20ⅿの崖から川へダイブ…すべてのアクションをスタントなしで臨まれたそうですが、当時は革命的な時代劇となったのではないでしょうか。
「体術を忍者から教わったり、アクションにはたくさん時間をかけましたね。おっしゃる通り、当時は“剣豪がなぜそんな動きをするのか?”と叩かれましたが、僕からすれば当たり前のことなんですよ。十兵衛は人里離れた場所で忍びの者たちと暮らし、そこでの生活が一番幸せだったと書にも記してありますから。左目を失い、五体満足でなくなった男がどう生きたのか…徹底的に研究しました」
●十兵衛の殺陣にも、千葉さんの熱い想いを感じますが・・・。
「相手から責められないよう、死角をガードするような立ち回りも意識しました。十兵衛という男は、本来平和主義者なんです。ですから斬り合うシーンでは、常に斬った後の彼の心情を大切に演じていました。彼は、どんな極悪な人間を斬っても、決して“これで良かった”という顔はしないんですね。どこかに虚しさを感じている…彼の生き様はそこに集約されていると思ったんです」
●ドラマには、教え子である志穂美悦子さんや真田広之さんも出演され、目にも鮮やかなアクションや馬術を披露していますが・・・。
「あの子たちには、色々なことを教えましたねぇ(笑)。彼らが喜ぶ姿が見たい!体操選手を育てるように、『俺よりいい記録を出せ!』とずいぶんお尻を叩いてきたように思います。殺陣の稽古は、
本身(本物の刀)を使ってやりました。木刀でなく本身でいくと、瞬間的に
全神経が集中して、顔、体全体が本物の動きを見せる。馬術も、悦ちゃんは
お尻の皮がむけるほど練習しましたね(笑)。彼女は本当に努力家ですよ。
あれほど素晴らしい女優さんは、もう出ないかもしれませんね」
●名優サミュエル・L・ジャクソンも、千葉さんが演じる柳生十兵衛の
大ファンだと聞きました。
「サミュエルに会った時、“サインをくれ!”と言われて“冗談だろ?”と返したことがあります(笑)。『アベンジャーズ』で彼が演じたフューリーに、
僕の十兵衛が反映されていると聞いた時は“まさか”と思いましたよ。
本当にありがたいことですね」
【放送作品情報】
■柳生一族の陰謀(全39話)
[ベーシック初放送][未DVD化]
深作欣二監督、千葉真一主演で制作された超大作時代劇!
熾烈な権力闘争に巻き込まれた、
柳生一族の陰謀と運命を描く。
★放送日:
1/18(月)スタート!
毎週(月)前9:45~11:45(2話連続)他
☆再放送:
1/18(月)より 毎週(月)後7:00~9:00(2話連続)
1/25(月)より 毎週(月)前4:00~6:00(2話連続)
Profile:千葉真一
‘39年1月22日福岡県生まれ。O型。日本を代表する
映画スター「Sonny Chiba 」として、海外でも知られている。
体操のオリンピック選手を目指した後、東映第6期ニューフェイスに
トップの成績で合格。’60年、ドラマ「新 七色仮面」で主演デビューする。
「キイハンター」、「影の軍団」シリーズなど代表作多数。
’70年には、世界で通用するアクションスター・スタントマンを育成・
輩出するため、ジャパン・アクション・クラブ (JAC)」 を創設し、
志穂美悦子、真田広之、堤真一らを輩出した。
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